「ザ・デーモン・サンド」アップデートスケジュールのお知らせ&
[特報第四弾]ジョー・バリー「ザ・デーモン・サンド」開発日記
2006年11月29日
みなさん、こんにちは。
私のハンドルネームは「Jwb」
ダンジョンズ&ドラゴンズ・オンライン、ダンジョンデザイナーの一人です。
ダンジョンを綿密に設計する際に、私たちが考えるいくつかの事柄について、今日は皆さんにお伝えしようと思います。
まずはじめに、私の担当するプロジェクト、そして私自身がどのような仕事をしているかについて、少しだけ背景となる情報をお話ししましょう。
私は「ピット」「侵入者だ!」「ジャングル・オブ・カイバー」「ゾリアン・サイファー」「ティアー・オブ・ダカーン」「グレイブローバー」「アラクノフォビア」「スクラグ・ソウワー」
「シャープウッド・ウェアハウス」「コボルド・アイランド」「ネクロポリスシリーズ」及び、モジュール3:ザ・デーモン・サンド内の6つのクエストをデザインしています。
おわかりのように、これらのクエストは、幅広いキャラクターレベルに対応し、様々なプレイスタイルに向けられた、広くて多様性に富んだダンジョンになります。
この開発日記において、
私は「ピット」について詳しくお話ししていきたいと思います。
そして、このクエストのどの要素が、「ザ・デーモン・サンド」に影響を与えたかを徹底的に解明していきます。
現在、MMOの世界においては、プレイヤー一人一人が他のプレイヤーとわずかに異なることを好み、
かつての典型的なプレイヤーの概念はもはや存在しなくなりました。
もちろん、彼らが共通して持っている嗜好の概念もありますが、
そうでないものが多くあります。
その昔、リチャード・バートルは4つのタイプのMMOプレイヤー像を書き記しました。
殺し屋タイプ、社交家タイプ、探検家タイプ、達成者タイプです。
私が最初にクエストやダンジョンのアイデアを思い描く時、それらの中の1つか2つのグループを対象として選び、そのタイプのプレイヤーが楽しめ、
かつ、ゲーム内で最も良いダンジョンの1つとなるようなものを目指して構築します。
これには、明確な負の側面が伴います。それは、私がデザインにおいて考慮しなかった残りのグループは、
このダンジョンを好きにはならないということです。
幸運なことに、我々は、沢山のダンジョンを構築しました。
私は1年以上、このプロジェクトに携わってきました。
そして、新たなダンジョンの開発に9ヶ月以上関わってきました。
私たちのチームは常にチャレンジングな仕事を行っています。
以下に私の行っている仕事の一部をご紹介します。
・モジュール2.2「ストームリーチ・アンダー・シージ」の5つの冒険は、
現サーバーからの意見を元に、洗練しバグ修正する段階。
・モジュール3.0「デーモン・サンド」の6つの冒険は、
QAの許可と承認を待つ最終段階。
・3.1の6つの冒険は、QAの最初の段階。
・3.2の5つの冒険はダンジョン構築の初期段階。
・モジュール4の6つの冒険は、ストーリーと仕様書が半分できた段階。
・4.1の5つの冒険は、ストーリーと仕様書を書く初期段階。
・4.2の7つの冒険は、ストーリーはできあがり、
仕様書を書かねばならない段階。
・モジュール5は、まだ曖昧としていて進んでいない状態です。
・5.1と5.2の一連のストーリーにおける10の冒険は、
ストーリーが作られ始めた段階です。
おわかりのように、私がバーでメモの裏に書き留めたようなものから、導入直前の洗練されたものまで、ちょうど50のクエストが開発段階にあります。
これの意味するところは、私がダンジョンやクエストについて考えたアイデアや仕組みが、エキサイティングなゲームプレイを通してどのように進化するかを手探りしながら、
ダンジョンを設計することができるチャンスに恵まれているということです。
「ピット」のように、最初から誰もプレイしたがらないと考えるようなアイデアを取り入れ、
そしてそれを行なってもらい記憶に残るゲーム体験にしてもらうことは、挑戦しがいのある仕事です。
しかしながら、このクエストは、リッチな報酬があるゲームプレイを好むプレイヤーの痒いところに手が届く、といった類のものではありませんでした。
また、我々は、提供する内容のバランスをとろうともしています。
フォーラムを読むと、「ピット」が嫌いで「侵入者だ!」が好きなプレイヤーと、その逆のプレイヤーにハッキリと分かれています。
それらのどちらの意見も間違ってはいません。
異なったプレイスタイルを持っているということなのですから。
我々の目指すところは、みなさんに楽しんでいただけるように、それぞれの好みにあった遊び方を提供するということです。
この目標を1つのダンジョンで実現するのは到底無理な話です。
しかし、それぞれのアップデートごとに複数の楽しみ方ができるダンジョンを用意することで簡単に実現することができます。
今回お話しする「ザ・デーモン・サンド」でも、これと同じ手法がとられています。
我々は、この非常に大きな砂漠に大量のクールなコンテンツを用意しました。
これまでに作った中で、私の自信作は、あるキャラバンを守るクエストについて提示された2つの異なるアイデアを混ぜ合わせて取り込み、最終調整を行って仕上げたクエストです。
それは例えば、「コボルド・アソールト」と「プロテクト・ザ・クレイト」のアイデアを混ぜ合わせて1つのクエストを構成したといったような感じです。
どのように砂漠に辿り着かせるかといった議論の中で、キャラバンのクエストが持ち上がり、プレイヤーが砂漠に辿り着くには、プレイヤー自身がいくつかのクエストを首尾よく完了せねばならないことにしました。
少し考えた後、我々は実際に2〜3回のプレイテストを行い、このクエストには2つの楽しみの要素が盛り込まれていることを確認しました。
1つめは、クエストを慎重にゆっくりと進行させると、プレイヤーは極端な消耗戦を強いられること。
2つめは、この要素が特定のタイプのプレイヤーにとって好まれるものであろうということです。
「コボルド・アソールト」をゲーム内で一番良いクエストだと考えているプレイヤーがおり、同時に、このクエストを嫌うプレイヤーもいます。
我々はメネチャタランへの門が1つのタイプのプレイヤーだけに開かれるのを望んでいませんでしたし、
誰かがこの冒険で苦しむのも望んでいませんでしたので、別の要素を加えることによって、この仕組みを調整しました。
今では、一定量のお金を支払えば、砂漠へ連れて行ってくれるNPCがエアシップ・タワーにいます。
素晴らしいことに、このクエストを望まないプレイヤーは、そのクエストを達成する必要が無くなったのです。
問題は解決し、様々なプレイスタイルのプレイヤーが、それぞれ幸せになりました。
しかし、別の問題が発生しました。
砂漠にいくのにお金だけ払えばいいのならば、だれがそんなクエストに好んでチャレンジするでしょうか?
そのため、新たな妙案が付け加えられました。
「デザート・キャラバン」クエストを一度達成したならば、そのクエスト提供者は報酬として、その後ずっとオアシスに直接あなたを無料で送り届てくれるようになります。
一方、エアシップのオペレーターは、毎回あなたから使用料を請求します。
これで、特定のプレイヤーに向けて楽しんでいただけるチャレンジングなクエストを提供できると同時に、
そのクエストを好まないプレイヤーに向けても、お互いに一緒に遊べないといったことがないようになり、
また、クエストにチャレンジするプレイヤーには意義のある報酬を提供できるようになりました。
1つのクエストや1つのアイデアのみで全てのプレイヤーを満足させることはできない、
よって、1つのアイデアを広げ、新しいアイデアの幅を加え、それぞれのアイデアがそれぞれのプレイスタイルにどのような魅力があるのかを分析し、
その結果、皆様に楽しんでいただけるような、深みのあるクエストを、我々は作ることができました。
毎日の私の目標は、可能な限り最高のコンテンツを構築し、あなたが好み、あなたの心をわしづかみにするような、素晴らしいゲーム体験を提供することです。
そのような感動を得る機会は常にありますし、あなたが感動したものを誰かが嫌いになるということもあるでしょう。
70%の人が好み、30%の人が二度とやりたがらない冒険(私はそのような4つの異なるダンジョンを作る予定です)と、誰にも感動を与えられない冒険のどちらかを選べるとするならば、
私は常に70/30の方を選びます。

ですから、そのあたりもチュウモクしていただいて、ムチューになってください!
「ピット」のようなダンジョンを作ったことは、ザ・デーモン・サンドがピットの息子や娘になったり、ピットが悪の祖父となったことを意味してはいません。
それは、あるアイデアの探求であり、目標のある特定のプレイスタイルを持つユーザーに楽しんでもらおうとするひとつの試みなのです。
これが、異なったプレイスタイルを目標としたいくつかの手法を我々がまとめ上げる手順です。
恐れることはありません。
我々は、あなたも含めた大勢のプレイヤーが、ゲームでの体験に人と異なるものを求めているということを認識していますし、我々が可能な範囲で、全てのみなさんをハッピーにしようとベストを尽くしています。
Jwbより
もっと知りたい方へ。下記を訪れるのをお勧めいたします。
リチャード・バートルの論説:クラブ、ダイアモンド、スペード、ハート〜MUDにおけるプレイヤーの絵柄〜MMOプレイスタイルの基礎
Richard Bartle's article: HEARTS, CLUBS, DIAMONDS, SPADES: PLAYERS WHO SUIT MUDS - the foundation of MMO playstyles
http://www.mud.co.uk/richard/hcds.htm
ニック・イー:ダイダロス計画〜MMOプレイヤーの行動分析〜
Nick Yee: Daedalus Project - a thorough analyzation of MMO players
http://www.nickyee.com/daedalus/